タイトル獲得のために、チームはベストに戻らねばと語るデランテロ。
FCバルセロナのブラジル人クラック、ネイマール・ジュニオールがスペインのテレビ番組GOLに出演し、バルサや彼の今についてあれこれと語っています。ここ1ヶ月ほどのルーチョチームはいまひとつ調子が上がらず、リーガではマラガ、レアル・ソシエダ、レアル・マドリーに3連続引き分け。それが響いて首位マドリーとは勝点差6の苦しい状況です。その間はフットボルの内容も冴えませんでしたから、バルサは変わってしまったとルイス・エンリケの戦術を疑問視する声もちらほら。それらに対しネイマールは、自分たちはバルサである、スタイルに変化はないとの見解を示しています。
クラシコで外したシュートが頭を離れない
このインタビュー番組で聞き役を務めたスポーツジャーナリストのRobert Rosetyさんがネイマールに訊ねたのは、先週末のレアル・マドリー戦についてでした。クラシコでは右太ももの過負荷によって途中交代したネイですが、「その筋肉の違和感とラモスのゴールはどちらが痛い?」と訊かれると、「ラモスのゴール」と即答。次のように続けています。
「最後の最後にゴールをされてしまった。僕らは後半はすばらしい試合をしていたのにね。こういう試合ではあらゆることが起こりえるわけだけれど、僕らに起こった一つの悪い出来事、それがあのゴールだった」「自分としては、(勝つ)チャンスを逃したという感覚だよ。僕らは2ポイントを失ったんだ。事実上勝っていた試合の最後に、あのゴールを食らった」
残念だったのは、イニエスタ登場で流れがバルサに来ていた瞬間に、バルサが2つの決定機を活かせなかったことです。必殺仕事人のメッシとネイマールが揃って仕留め損なった。カルバハルを華麗に料理しながら仕上げのシュートを吹かしたあのプレーを、ブラジレーニョはこう語りました。
「そう… 僕らには試合を終わらせる機会が何度もあった。僕もゴールを決め損ねた。あのプレーはずっと僕の頭の中を巡っているんだ。あれは失敗してはいけないゴールだった。でもああいうことは起こりえるからね。僕はアンドレスのパスを受けて、カルバハルと対峙してかわし、強く打ったシュートが上に上がってしまった」
今季のネイマールはアシストは量産しているものの、ここ最近はゴール運に恵まれていません(ここまで公式戦6ゴ-ル)。「僕のプレーに一切変化はないよ。自分に出来ることで、チームメイトたちを手助けしたいんだ。ゴールやアシストや、自分に出来ることでね。僕は変わっていないし、違ったこともしていない。自分の出来るプレーをしているよ」「ゴールが決まらないこともあるさ。そりゃあ、たくさんゴールをして、たくさんパスも出しながらピッチに居たいけど、時には全部が出来ないこともある」
バルセロナのフットボルに変化はない
必勝で臨んだマドリー戦に引き分けたことで、両チームの勝点差は6のまま変わらず。取りこぼしの許されない状況は尚も続きます。「去年は僕らが2位を11ポイントリードをしていたけど、僕らのリーガ優勝が決まったのは最後の試合だった。リーガはすごく難しいんだ。1位も2位も3位も、決して気を抜くことは出来ない。1つの試合が簡単にも難しくもなりえるからね。自分たちのすべきことをして、全試合に勝つことだよ」
リーガでまさかの3連続引き分けを喫したチームに何が起こったのか。ネイマールにもそれは定かではないようです。
「どうなっているのか分からないよ。僕らはいつも勝ちを目指しているし、最善を尽くそうとしている。それでも時々は、試合中にやりたいと思うことが出来なかったりもするし、ゴールを決めたくても出来ないことがあるからね。それがフットボルさ。いつも100%というわけにはいかない」
結果が出ないとよく言われるのが、スタイルの変化論です。しかしネイマールは、入団以来チームのスタイルが変化したとは感じない、との見解を示しています。「僕らのスタイルは変わってないと思うよ。バルセロナには哲学があるし、僕らが変わったとは思わない。上手くいかなかった試合が幾つかあると皆が、正しくはないと考えていることを話すんだ。でも、違う。バルセロナは今でもバルセロナだよ。そしてこれからもずっとバルサはバルサであり続けると僕は信じてる」
「僕らに必要なのは、自分たちのMAXレベルに戻ることだよ。トリプレーテを達成した年、僕らはアノエタで負けた。でもそれをひっくり返して、全てに勝ち始めたよね。今回もそれができると僕は思うし、そうなるように出来ることをやっていくよ。だって僕らはトリプレーテをしたいからね。全てのタイトルを僕らは求めている」
今季のルーチョチームは、要塞であるべきカンプノウで勝点を取りこぼしています(対アラベス1-2、対アトレティコ1-1、対マラガ0-0、対マドリー1-1)。
「それは答えるのが難しい質問だよ。何が起こっているのか、って僕に訊ねるけれど、その答えを僕は知らないからね。僕らはいつだって、最善を尽くそうとしている。でもすでに言ったように、フットボルでは常に100%とはいかないし、いつも勝てるわけじゃない。常にゴールを決められないし、毎回スペクタクルを与えられない。今起こっていることが、時には起こりえるんだ」
「(チーム状況について)僕らは監督も交えてたくさん話し合ってるよ。でもフットボルでは話をするだけじゃなく、プレーしないといけないからね。プレーをしなければ、試合に勝つこともない」
バロンデオロはメッシ
来週月曜日に発表になるらしいバロンデオロに関しては、クリスティアノ・ロナウドが受賞するだろうと言われています。彼が受賞するに相応しいかと問われたネイマールは、いつものようにレオ愛を強調しました。
「誰が受賞するのか知らないけれど、僕の中ではベストはただ1人、レオしかいないよ。もしフットボルについて話すのであれば、メッシがベスト。クリスティアノは偉大な選手だし、ここ数年の実績から言って彼はクラックだ。僕は彼をすごくリスペクトしている。でも僕にとっては、賞に相応しいのはレオだよ」
「バロンデオロ受賞はもちろん、僕の目標ではある。でもレオがいる時に受賞するのは難しい。僕にとっては彼がベストだからね」
この夏 FCバルセロナとの契約を2021年まで延長したネイマール。例えばバロンデオロを受賞するためにチームを変えることはあるかと訊ねられ、デランテロはこう答えています。
「僕はバルセロナやこのチームですごく幸せだし、幸せな生活を送ってるからね。バロンデオロは目標としてあるけど、死ぬほど受賞したくはならないさ。僕は幸せになりたい。そしてここで幸せだ。もしバロンデオロを勝ち取れなくても、何も起こらないよ。僕がフットボルをするのはバロンデオロを得るためじゃなく、幸せであるため。僕はフットボルが好きで、プレーをしたいからね。そしてバロンデオロはその仕事の結果として得るものだ。不幸なことに受賞できるのは年に一人だけだし、レオがベストだから、僕らはそれを尊重するよ。僕にとっては彼のチームメイトであり、彼とプレーをしてゴールを決めるのが最高に名誉なことなんだ」
トリデンテ
ネイマールの愛情は、レオ・メッシだけでなくトリデンテにも注がれます。MSNトリオは世界最高の前線か?との質問に対し、ネイは「自分のことを話すのは難しいし、好きじゃない」としつつも、こう続けています。
「僕らは歴史を作っているし、そのことは自分たちも知っているよ。僕らはここで幸せでありたい。僕らが望むのはピッチやトレーニング場で幸せを感じていることだから、常に全てでベストである必要はないんだ。彼ら二人と入るのは光栄なことだよ」
「珍しい友情だよね。だってそれぞれブラジル人、アルゼンチン人、ウルグアイ人なんだから。僕らはお互い、自分たちの国ではライバル。でも何が起こったのかは分からないけど、僕らにはすばらしい友情があって、いつも冗談を言い合ってるんだ。フットボルでこういう人たちと出会うのは幸せなことだよ」
「僕らは時々、バルセロナでの引退について話してるよ。僕らはピッチの中でも外でもすごく仲が良いから、長い間一緒にプレーをしていたいと思ってる」
どんだけ仲が良いんですか、という3人。バルセロナはネイマールとは2021年まで契約延長を終えていますし、近々ルイス・スアレスとの2022年までの契約延長が発表されると伝えられています。そしてそれらを“手土産”に、レオ・メッシとも2022年までの契約延長へ向けてこれから交渉を始めていくらしく。フットボルの世界は一筋縄ではいきませんが、あと5年トリデンテの笑顔を見れるなら、それはクレにとっても幸せなことでしょう。
またネイマールは、アンドレス・イニエスタにも賛辞を送っています。「彼は比較できない選手だよ。彼はすごく、すごく違う。アンドレスには信じられないほどのエレガントさがあるし、そのことが彼を他の皆と違う存在にしているね」
「アンドレスは僕が見た中で、その資質や全てによって最高のセントロカンピスタだよ。良い選手や伝説となるために、バロンデオロは必要ないさ」
終わることなき裁判騒動
このGOLでのインタビューでは、これまではコメントを避けてきた裁判問題に関してもネイマールは語っています。それらによる騒動はプレーに影響しないとバルサの11番。「フットボル的には、試合やトレーニングでの僕が影響を受けたりはしないよ。プレーをしたり、トレーニングをする時、僕はなにもかも忘れているからね。僕は自分の仕事に集中をしてるんだ」
でも、とネイマールは続けます。「これらが悪いのは、契約を結ぶうえで自分たちがベストを尽くしたと知っているからなんだ。僕の父は、それが仕事だから、自分のすることを知っている。関係のないことをあれこれを話す人は、真実を知らないからそうするんだ。辛抱のならない時もあるよ。僕がこう言うのは、自分のためではなくて、父や母に起こることのためだよ。僕はプレッシャーや、人の悪口に慣れている。でも家族はそうじゃないからね。こういうことを言う人たちは、それを考えない。ただ話すだけさ」「僕の家族にとっては、困難な時間だった」
「自分が悪く扱われたとは思っていないけれど、人は真実ではないことを言うし、それは僕に少し影響はするね」「マドリー選手?彼らとバルサの選手の間に扱いの差はないと思うし、この件については僕は話したくはない」
シャペコエンセの飛行機事故については、ネイマールは次のように語りました。「すごく厳しかったよ。あの飛行機には、僕の友人もいたからね。僕はこれまで長い時間を飛行機で過ごしてきたし、これからもそうだろう。シャペコエンセや彼らの家族、それに世界中の選手にとってすごく難しい時だ。あれは誰にでも起こりえることだから」「もし(クラシコで)ゴールをしていれば、シャペコエンセのシャツを掲げていたよ。それがあの瞬間の僕に出来ることだった」
最後にネイマールは、近付いてきたクリスマスでの願い事を一つ、と求められ、こう言いました。「願い事一つ?僕はすでに多くのことを手にしているからね、神が僕に与えている今の生活や全てのこと、プレーをできる健康に対し、ただ感謝をするだけだよ」
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