主力はペップチームの遺産、控えの若手も育っていない。
2017/18シーズンのラ・リーガ第33節 セルタ対バルサは、バルベルデチームがリーガ無敗記録を40に伸ばしたことより、先発イレブンにカンテラーノが一人もいなかったことで後世に記憶されそうです。
エルネスト・バルベルデは4日後にコパ決勝が控えている事情により、バライードスで主力メンバーをごっそり温存。控え選手を起用した結果、ラ・マシア産選手が先発から消えたのです。
温存された選手たちはコパ決勝で戻ってきますから、1試合限定の出来事ですが・・・
メッシやイニエスタのような、数十年に一人級のクラックを輩出するためには運の要素もあるとはいえ、“ミドルクラスの選手をトップチームに送り込むことこそがカンテラの重要な役割”ですから。今回の“控えメンバーにカンテラーノがいない件”はとても深刻です。
暗黒時代以来の出来事
いや、ちょっと待て、セルタ戦にはデニス・スアレスが先発していたじゃないかとの声もありますが、翌年にはトップ契約になることを前提でバルサBに1シーズン所属しただけの選手は、カンテラーノに認定するのは違うかなと思います。すごく愛着はわきますけれど。
前回、先発イレブンにカンテラーノが1人もいなかった事例は16年前、2002年4月6日のアスレティック戦(サン・マメス)でした。
この時の11人は・・・ ボナノ、レイジハー、クリスタンバル、アベラルド、ココ;コクー、ロチェンバック、ルイス・エンリケ;リバルド、オーベルマルス、そしてサビオラ。
手元の資料では、チャビが62分にオーベルマルスと、ガブリが77分にリバルドと、そしてモッタが81分にエンリケと交代で出場しています。プジョルはベンチか。前後にパナシナイコスとのチャンピオンズ1/4 final があるので、チャビらは温存されたっぽいです。
ザ・暗黒時代。上記のイレブンを送り出したのが、カンテラ主義やパス主体の攻撃的フットボールなど、“バルサのDNA”の創始者であるジョハン・クライフの相棒チャーリー・レシャックであるのは面白いじゃないですか。
バルサのDNA
バルサにはボールを巧みにつなぎ、選手たちが有機的に絡み合うことで相手守備陣を崩す、それをとことん攻撃的に実行するというフットボール哲学があります。
それは簡単なことではないので、少年時代からスタイルが身体にしみ込んだカンテラーノがトップチームの中心軸となることが重要になる。『DNA』を持った選手なら、他クラブ育ちでもいいかもですが・・・
理想はカンテラーノで土台を築き、ルイス・スアレスのようなラ・マシアでは生み出せない選手を補強していくことです。なのでミドルクラスの選手、先日のセルタ戦でいえばディニェやアンドレ・ゴメスあたりはカンテラーノでカバーすべきところでしょう。
2012年のティトバルサが『11人全員カンテラーノ』を達成した時は、きらめく主力だけでなく、モントーヤやペドロもいましたから(出戻りセスク・ファブレガスもいた)。
そこはやはりバルサなので
これだけカンテラーノが一つのスカッド内にいるのはペップ黄金時代からで、それ以前はチャビとプジョル、バルデスを中心にちらほらとカンテラーノが出ては消えるの繰り返しでした。クライフのドリームチームも、フェレール、アモール、グアルディオラくらい。
それだけバルサのトップチームで生き残れる選手を育てるのが困難なこととはいえ、、バルサなんだからそこは積極的に挑戦していかねばならないわけです。DNAを次世代につながねばならない。監督を引き受ける人も、どうにか若手を育てていってほしいです。結果を出して、若手も育てる。大変ですが。
二人目のレオ・メッシをすぐに育てろなんて無理は言わないので、第二のプジョルとかチャビをどうか頼む。出来ればブスケツも。あとはアルバとかモントーヤとかそのあたりも。
今の主力はペップ時代の遺産なので、現在の政策を続ければ数年後にどうなっているか不安しかなく。まずは来季、カルラス・アラニャーの定着に期待ですかね。
(話は逸れますが、バルサBがらしからぬフットボールのうえに結果も出せてない現状・・・ 2014年のユースリーグで初代王者に輝いたフベニール勢が、一人も残っていない悲しさ・・・)
このニュースのまとめ
- ・セルタ戦では16年ぶりに、先発イレブンからカンテラーノが消えた
- ・控え組にカンテラーノがいないのは深刻
- ・DNAを次世代につなぐのがカンテラーノ
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