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スポーツディレクターが語る「今日のフットボルで中盤はさほど重要ではなくなった」

ムンディアルで再び感じられたフィジカルの優位性
冬市場での選手売却は考えていないと説明するジョルディ・クルイフ

2022年12月8日のMDとSPORTに、FCバルセロナのスポーツディレクターであるジョルディ・クルイフのインタビューが掲載されました。スカッド編成における責任者は、カタールでの熱戦の数々を見ることで何を感じたのか。冬市場でのバルサはどう動くのか。時代がどうあれバルサはDNAを追求するのですが、どう時代に対応させていくかは難しいテーマです。中盤こそバルサですから。

縦に速くなっているフットボル

カタールでのムンディアルで盛り上がり、冬の移籍マーケットも近づいているこの12月上旬。スペイン代表敗退後のスポーツメディアの最大の話題はスペイン代表監督ルイス・エンリケの去就でしたが、その裏で話題となったのはジョルディ・クルイフの言葉でした。

12月8日、MDとSPORTの両紙がスポーツディレクターの長めのインタビューを掲載しました。
あちらでは時々、選手や会長のインタビューが同じ日の両紙に登場します。もっと真面目にバルサニュースを更新していた時は、読むのがしんどいのでうぇ〜っとなったものです。
話が逸れました。こうしたインタビューにクラブが送り出す人選には、少なからず意図があるでしょう。

バルサのスカッド編成を司る幹部が、いま登場する意図はなにか。冬市場でのチーム補強は難しいと改めて告げてもらう。ラ・リーガのFFPへの不満を強調する。放出の噂を消しておくことで選手周辺を静かにさせる。うんぬんかんぬん。

そんななか、MDの大見出しとして取り上げられたジョルディ・クルイフの言葉はこちらでした。「フットボルは変化したんだ。今日では中盤はさほど重要ではない」
フィジカルの存在感が増している昨今、バルサスタイルをどう見るか、、という質問に対する答えです。以下、同じ人に対する似た質問が多いので、コメントはMD中心です。

フットボルは変化したんだ。今回のムンディアルどうこうではなく、一般的な傾向としてね。10年前は中盤でのバトルを制した者が戦いに勝っていた。しかし今日ではそのバトルは重要/決定的ではない。今よく言われるのは、結果は守備での強さや攻撃の効率性次第だということだ。それはフットボルがより速くなったことを意味している。よりフィジカルではなく、より縦に速くなったことを意味するんだ。イングランドやドイツのチームと対する時、特に感じられるね」

「そういった変化はしかし、己のDNAを持ってプレーすることが出来ないということじゃないんだ。独自の、バルサに非常によく似た哲学を持つグァルディオラのような監督が、イングランドでしていることはその素晴らしい例となる。トランジションの国であっても、彼は自分のDNAでプレーをしている」

このスタイルはもう時代遅れなのか

今回のムンディアルではバルサと同じ中盤、同じフットボル哲学を持ったラ・ロハが苦戦をした後に1/8 final で敗退となりました。バルサも国内はともかくチャンピオンズでは勝てない。バルサスタイルはもう時代遅れなのか。クルイフは「そうは思わない」とバルサの中盤三銃士を擁護してこう述べています。

「今日では必要とされるものが変化していると思うけれど、中盤は常に前後のライン次第だ。中盤がセントラルのカバーをしなければならないスカッドもあるし、ゴール前に出て得点することが求められるスカッドもある。全てはスカッド次第だね。中盤に求められるものはそれぞれで異なっている。守備陣も攻撃陣も10年前と今では違うわけで、中盤の機能を比較するのは公正ではない。単に時代遅れと言うのは難しいよ。彼らは偉大な選手たちだ」

バルサは我が道を進むべきとして、10年前のような大成功を再現するのはなかなか困難そうです。当時はあまりにも全てが揃いすぎていた奇跡のジェネレーション。当事者たちがこんなのは再現不能だと言っていたのを、今ひしひしと実感しています。
DNAを保ちつつ、どう進化をしていくべきなのか。出来れば自家産の超絶クラックが少なくとも一人出現すること、それがカギですかね。

フレンキーケースについて「時は過ぎた」

もうひとつの大きなテーマは、バルサの冬補強についてです。「夢を見るのは無料だけれど、フットボル選手は無料じゃない」なる名言を語ったスポーツディレクターは、少し前にジョアン・ラポルタ会長が説明したとおりに冬の補強は「ほぼ不可能」だと言います。

では放出はどうなのか。ジョルディ・クルイフによると、クラブはどの選手の放出も計画していないようです。夏で契約が切れるメンフィスに関しては歯切れが悪く、「チャビ次第」としていますが、「私たちが考えているのは放出ではなくシーズン後半にチームが競争力を持つことで、メンフィスは怪我から回復すればどのクラブでも貢献できる選手」(MD)としているので残留有力でしょうか。レバンドフスキの代役問題もあります。

あとはそう、夏市場において大きな騒動の中心となったフレンキーケースについてです。
バルサにおいて唯一、大きなお金と換えられる選手とあって様々な圧を受けたフレンキーでしたが、今となってはもうドナドナする状況ではないんだとジョルディ・クルイフは説明をしています。

フットボルにおいては時期があって、それぞれで状況は違ってくるからね。時期や状況によっては、フットボル面だけでなされない決定もあるんだ。とはいえ時間は過ぎ、今の彼は監督の信頼を得て重要な役割を担っている」

とはいえ、バルサが選手サラリー負担に潰されている問題はまだ解決はしていません。クルイフのインタビューでも嫌というほどFFP、FFPと語られていますし、大変な苦労がうかがえる。一旦ページがめくられたフレンキーの件とはいえ、まだ一悶着ありそうに思えます。

面白かったのはジョルディ・クルイフが記者さんの質問を巧みに“ドリブルでかわす”ので、そんなに上手にドリブルするあなたは何歳ですかと訊ねられている箇所でした。
彼曰く、選手だった頃の経験から、背広組となった今は「されて嫌だったことはしないように」発言や行動には気を配っているとのこと。もちろん必要な決断は下すのですが、以前のような残念な出来事がクラブからなくなれば好いなと思う次第です。

コメント

  1. しんのすけ より:

    こんにちは。
    どうしても、「中盤は重要で無くなっている」に食いついてしまうのですが、今回のムンディアル、トップ下の選手が光ってない気がしますよね。
    ドイツのムシアラ、イングランドのベリンガム、2列目ですが我らがペドリと、ハンパないプレッシャーを受けて、時間もスペースもない。
    点になっているのは、ゴール前での即興性で、効率よくカウンターで素早く前線に供給する。
    ただ、バルサはそういう布陣ではないので、どうしたものですかね。

  2. ゼロ より:

    ムンディアルは代表チームの練習の機会が少なく連携が低いため、より手数の少ないカウンターに比重が置かれるのは仕方ないかと思います。

    今のバルサの問題はポゼッションが時代遅れ云々ではなく、カウンターの形が作れていなかったり、遅攻の時に裏抜けやパスのリズムを変えないなど、そもそも攻撃の基本ができていない点だと思います。

    CLで縦に速いサッカーをしてると言われるチームもこうした攻撃の基本はやってますし、国内の下位チーム相手にはカウンター一辺倒ではなくいろいろな攻撃を仕掛けてきます。

    冬の放出に関してはフェランかケシェの売却交渉をしてほしいですね。売却可能で、まともな値段がつくのは彼らくらいですし、現状はフリーでの新規選手獲得も厳しいです。

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