インテル戦の驚きのゴールにより、いきなり英雄となったマルコム
フットボール選手のキャリアは、ほんの1試合、ほんの1ゴールで劇的に変わり得ます。当然、その資質がなければ幸運は続きませんが、能力があるのにチャンスを与えられていなかっただけなら、1ゴールが苦境を脱するきっかけになる。インテル戦のマルコムはさて、どちらでしょうか。
ついに訪れたチャンスで、インパクトを残した
チャンピオンズのインテル・デ・ミラノ戦にて貴重なゴール(一時は決勝弾)を決め、バルセロナが1/8 final(準準準決勝)へ進出するための貢献をしたことで、マルコム・フィリペ・シルバ・デ・オリベイラ(21)は一躍バルセロニズモの主役となりました。
ウェンブリーでのアルトゥールもそうでしたが、それまで出番のなかった選手が、歴史あるスタジアム(今回はジュゼッペ・メアッツァ)での名門チーム相手に結果を出すのはインパクトを残す。
やれば出来る子のようだから、監督はもっと使ってあげなよ、とのファン世論を生み出します。
インテル戦ではレオ・メッシが最終的にスタンド観戦となり、エルネスト・バルベルデはウスマン・デンベレをD10Sの代役として先発起用。マルコムは攻撃の起爆剤としてベンチメンバーに入りました。
そしてムニールが(メッシのとなりで)スタンド観戦。
これまではベンチから外れるのはマルコムだったので、彼の日々の姿勢や可能性をバルベルデが認めだしたということでしょう。
バルサの攻撃をハンダノビッチがことごとく阻止したのも、マルコムの得点を劇的にする後押しとなりました。バルベルデは消えかけていたデンベレに替えてブラジレーニョを送り出すことを決断。マルコムはついに訪れた大きなチャンスを活かし、80分にピッチに立つや、その3分後には歓喜の涙を浮かべてチームメイトたちに抱擁されていたわけです。
バルベルデにとって嬉しい頭痛の種となれ
得点はコウチーニョが自陣でボールを奪取したことによって始まったカウンター攻撃です。
右サイドにいたマルコムはフリーだよと右手を挙げ、完璧なパスが届くと、左足でコントロール。進路を定めてペナルティエリア内に入り、フェイントでDFをかわし、間髪入れずに強力な左足シュートをゴール左端へと叩き込んでいます。
思い切り打ったら偶然決まったのではなく、意図と能力を感じさせるゴール。
インテル戦後のセルヒオ・ブスケツに「僕らはみんな、マルコムのことを喜んでるよ。彼の涙は感動するね。望むようなプレー時間を手にしてないけど、トレーニングではハードに頑張ってる。彼は天才だよ」なんて褒められるんですから、ポテンシャルは示しているんでしょう。
“天才”マルコムが結果を出し、レオ・メッシが戦列に戻ってくるとなれば、バルベルデのメンバー選びは難易度を増します。一番影響を受けるのはムニール。続いてラフィーニャ。デンベレもより厳しい競争にさらされます。
「僕はバルサで成功する」
マルコムは昨日、カタルーニャラジオの番組 Tot Costa に出演し、チャンピオンズデビュー戦にして価値あるゴールを決め、英雄になった感想や今後について語っています。
「あのゴールが、僕がもっと試合に出る手助けになるかどうかは知らないけれど、チームに自分の居場所を探すために闘い続けていくよ。バルサには偉大な選手たちがいるから、先発メンバーになるのは難しい。バルサはすごく良いグループだよ。必要なのは忍耐強く待つこと。自分がバルセロナでたくさんの成功を手にすると信じてるんだ」
そのためにまずどうすれば良いか。マルコムはバルベルデに求められる改善点についてこう明かしました。
「自分が何をしなければならないのか、僕は分かってる。もっと試合に出るために、守備面を改善しようと頑張ってるんだ。最終的に決めるのは監督さ」
チームメイトたちが認める努力
11月8日のMD紙によれば、マルコムはチームメイトたちから“疲れを知らない働き者”で“謙虚な人間”と認められ、特に忍耐力を評価されているそうです。黙々としていた努力が実ったからこそ、チームメイトたちも我がことのように祝う。マルコムは仲間たちの祝福について「みんなの喜びようは信じられないものだった。このチームでは、一人の幸せはみんなの幸せなんだ」と話しています。
若手選手がぶつかる壁、「思い切って自分を出すこと」をマルコムはインテル戦でできた。その大胆さを失わず、守備面を安定させていければ、同じく守備面が課題のデンベレに対するアドバンテージになるでしょう。
主役になったけれど、これはまだ始まりにすぎない。
二度、三度、四度・・・と良いパフォーマンスを示し続けなければ、目指す先発の座は手に入りません。
バルサでの成功は、長く険しき道の先にあります。
ファイト、マルコム。
なんか彼、応援したくなるんですよね。
このニュースのまとめ
- ・インテル戦のゴールで英雄になったマルコム
- ・不遇の日々から一転、陽の当たる場所へ
- ・ここからがスタート。
- ・「バルサで成功すると信じている」と希望を語る
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