バルサ選手としての6年間では310試合に出場し、13のタイトル獲得に貢献
すったもんだはあったものの、最後は彼の希望が叶い、お別れ会も行われる
2020年9月1日(火)、FCバルセロナとセビージャFCがイバン・ラキティッチの移籍で合意に達しました。バルサを去るのであればセビージャに戻りたいとの彼の願い(厳しく思えた時期もあった)が実現したことが、なにより嬉しい。退団イベントが実施され、どうにか表門から送り出せることも安堵しました。
「歴史を作る」との目標を達成
少し思い出話をしましょう。
イバン・ラキティッチのバルサ入団は2014年7月のことでした(発表は6月)。タタ・マルティネスが落胆と共にバルセロナを去り、ルイス・エンリケの新体制が発足していた頃。中盤の強化を狙うバルサはまず、アトレティコのコケに手を伸ばそうとしていたのですが、これはさすがに無理がありました。
そこで浮上してきたのがこのラキティッチ(当時26)で、様々なタイミングが合致した大正解補強は、とんとん拍子で完了となります。6シーズンに及ぶバルサ生活の幕開けです。
「歴史を作るためにバルサにやって来た」はわりとよくある入団会見でのフレーズですが、クラブでの試合出場数が4番目に多い外国人選手(310試合)となり、13のタイトル獲得に貢献してきたのですから、その目標はしっかりと達成されました。
MSNトリデンテが自由に、存分にその攻撃力を発揮できたのも、背後で支えるラキティッチがいたからこそ。セビージャでは完全にチームの中心だった彼が、スターたちを支える側になんのためらいもなく回った。これがすばらしいです。
310試合出場は、メッシ(731)、ダニ・アルベス(391)、マスチェラーノ(334)に次ぐ数字。なんと怪我による欠場はわずかに3試合しかないそうです。
いきなり活躍、チャンピオンズ決勝先制弾
初年度は適応に苦しむ選手が多いFCバルセロナで、イバン・ラキティッチはいきなり重要な役割を担い、中盤の主力として活躍します。こんなにすぐにフィットしたセントロカンピスタはデコ以来だ、とされ、ベルリンでのチャンピオンズ決勝(対ユベントス、3-1)では価値ある先制点もマーク。バルセロニスタの心を掴み取りました。
得点への関与も、彼の魅力。バルサでは36の得点と、40のアシストを記録しています。ラキティッチミサイルを僕たちは忘れない。
惜しむらくは「もう一度チャンピオンズで優勝すれば、丸坊主にする」との約束を果たす機会がなかったこと・・・
売りたいクラブとの間に生じるズレ
抜群のフットボールIQにより、ルーチョバルサにおける不動のレギュラーとなったイバン・ラキティッチ。その実績が認められ、2017年3月にはバルサとの契約を2021年6月末まで延長するのですが、同時にこの頃から、他クラブのビッグオファーが舞い込み、「売り時」が話題になってもいきます。
最も彼の周辺が騒がしかったのは、2018年の夏。PSGからの高額オファーを受けながら、「心の声を聞きバルサ残留を決めた」と語った彼に、多くのクレがさすがラキティッチと胸をなで下ろしました。
しかし理事会にはそれを面白くないという人もいたでしょう。売りたいクラブ、拒むラキティッチ。この頃から両者の関係にはズレが出てきたと思います。契約の再見直しを何度も求めるラキティッチに対し、理事会はまったく反応しませんでした。
続く2019年夏もラキティッチは放出のウワサは絶えることなく、エルネスト・バルベルデによる「過去2年間は重要な選手だったけれど、今季はどうなるか分からない」発言と、その後の試合から干される日々・・・ 「僕はボールを取り上げられた。悲しいよ」の言葉には切なくなりました。
そして彼は「カサ(わが家)」へと帰る。
ラキティッチはあくまでもセビージャ復帰にこだわっていて、それは困難に見える時期もありましたが、そこでバルサが譲歩姿勢を示し、変動額を中心とした移籍金で合意したのは評価しましょう(移籍金150万ユーロ+変動額)。
すったもんだはあったけれど、功労者である彼の希望が叶いました。
公式ウェブでの退団発表が数行の冷たい文章だけで片付けられなかったことや、お別れイベントが行われ表門から送り出せることも救いです。このクラブにも良識が残っていた(笑)。ラキティッチはこれで名誉と共にクラブを去ることができます。
ラキティッチへのお別れ会は9月2日の現地11時から行われる予定です。
コメント
チャビイニが去ったバルサの中盤を支えてたのは、ラキティッチだったと思います。
セビージャ戻れて良かった。