引っかかってはいけない落とし穴に躓いた。
FCバルセロナの公式戦連勝が8でストップしました。リーガでマドリーとセルタに連敗した後、“これからは年内残り試合に全部勝つ!”をスローガン に勝利を積み重ねてきたルーチョバルサでしたが、残念ながらあと少しのところで目標達成とはならず。PSG戦から中2日でアウェー戦のスケジュール、苦手 としている16時キックオフ、雨で乱れたグラウンド、ピッチ幅の狭いコリセウム・アルフォンソ・ペレスと難しい要素が重なったのは事実とはいえ、首位マド リーが勝ちまくり状態の今、こういうところで勝点を落としてしまうと戦況を自ら苦しくしてしまいます。試合後にチャビが認めたように、これでバルサは「一 歩後退」です。
チャビ「一方後退」
0-0で終わったヘタフェ対バルサ。1点が勝敗を左右するスコアですから、52分のレオ・メッシのフリーキックが揺らしたのがクロスバーではなく ネットなら、バルサは勝点3を確保して帰宅の途についていました。その場合、翌日のスポーツ紙はメッシを絶賛し、クラックの一振りとブラボのセーブがチー ムを救った、とニコニコしていたことでしょう。しかし今回救世主は現れず、SPORT紙の見出しは“非常灯点灯”。1点のあるなしで乏しかったフットボル が無かったことになるわけじゃないですが、最終的なイメージとリーガ戦局はだいぶ変わります。連勝街道を突っ走るマドリーとの勝点差拡大は、なにかと痛い です。
いわゆる“高い代償となりかねない”、“負けに等しいエンパテ”。運に恵まれなかった点はあったとしても、それだけで片付けてしまってはルイス・エ ンリケが前日会見で強調していた「絶え間ない進化」はないわけでして、チームの選手たちや監督がこの0-0をどう受け止めているのかは気になるところで す。ということで前置きが長くなりましたが、以下はカピタン・チャビのコメント。試合終わりにチャビは、カナル・プルスのマイクにこう語っています。
「先制点を奪えないと、試合はどんどん難しくなっていく。ヘタフェの守備は時間を追うに連れて堅くなっていったし、彼らの守りはとても強かったよ。僕らは何度かチャンスを手にしたけれど、上手く攻められなかったことが仇となった」
「チームは良い流れできていたし、メッシのクロスバーなど3つ4つの好機は作っていた。でも今日はボールが入らなかったね。まだ先は長いとはいえ、一歩後退なのは事実だよ」
ラキティッチ「自己批判をしていく」
ミックスゾーンで待ち受けるメディアの取材に応じ、0-0の見解を述べたのはイバン・ラキティッチです。セントロカンピスタは、「ネガティブなことを話すんじゃなく、ここ最近のチームの進化を見ないと。もちろん僕らは満足していないよ。僕らは自己批判をしてロッカールームで話し合って、次の試合で改善しなければならない。リーガはたくさん残っているから、僕らは自分たちのことだけを考えて、自分たちの道を進む必要があるんだ。こういう結果ひとつで、僕らは考えを変えたりはしないよ」、と前向きに進んでいくべきだと強調しつつ、試合全般としては「悪い試合じゃなかった。僕らのほうが上回っていたし、最後の詰めが足りなかった」との考えを述べています。
そして同じくミックスゾーンでコメントを残したセルヒオ・ブスケツは、「僕らは危険を作り出そうとあれこれ試みたし、全てを出したよ。(結果には)不満だけれどね。おそらく僕らは、水曜日の疲れを少し感じていた」と、PSG戦による消耗を今一つの出来だった理由に説明。「首位から遠ざかったのはイヤだけれど、先は長いんだ。1試合1試合、少しずつ差を縮めるよう試みていくべきだ」としています。
ルイス・エンリケ 「バルサの方がずっと良かった。ただし、、」
では監督の総括はどうか。ルイス・エンリケが試合後の会見で強調したのは、バルサがヘタフェよりずっと良かったとの分析です。「私たちの方が相手チームよりもずっと良かったと思う。私たちは多くのゴールチャンスを作り出していたんだ。ただし、私たちは(冷静な)頭よりも気持ちでゴールを求めていた。幾つかあった決定機をどれか決めていたなら、私たちは良い試合としていたことだろう」。その他、
「私たちは相手チームを上回っていたと思う。けれども彼らに少々危険なトランジションを許していたのも事実だ。彼らが手にしたチャンスは、筋の通った(理由のある)ものだと私は解釈している。しかし試合をコントロールしていたのは私たちで、彼らの好きにはさせなかった」
「後半、私たちは何度も相手ゴールに迫り、左サイドから幾度もエリアに侵入し、クロスボールを叩きもした。正確さに欠けていたことや、相手がエリア内に人を集めていたのはまた別の話だよ。あと100回チャンスを作れれば嬉しいけれど、選手たちに不満は抱いていない。彼らはキックオフから全力を尽くしていたよ」
「改善が必要なのは明らかだが、私たちが相手に1分でもプレゼントをしたとは思わない。この試合の難しさは分かっていたし、可能なかぎり良い試合をするべくトライした」、などなど。
“だが”や“しかし”といった逆接の接続詞が多く使われています。90分間全力を尽くし、勝利のために最後まで手を尽くした選手たちを称えたいけれ ど、実際には上手く機能していたところも多々あり言葉選びに苦慮、、、という感じでしょうか。選手たちがなんとかしようと奮闘していたことに異論はないの ですが、試合を思うように進めていたのがバルサだったかというと疑問です。脳みそよりも気持ちでプレーをしていた、との分析には賛同します。
冷え込む監督への信頼度
ルイス・エンリケ率いるバルサはリーガ第15節を終えた現段階で勝点35となっていて、これはあれこれ言われていたタタ・マルティーノの同時期よりも5ポイント少ない成績です。カンプノウでは24点取っているのに、敵地では12に半減しているのも特徴。 バルサが移行期だとは理解していて、新監督の元で苦労するシーズンだとは分かっていても、方向性に迷走を感じるのがどうにも歯がゆいです。夏の補強からし てアレでしたし、もうそろそろ“これがわれらの進む道!”というのを見つけてほしいのに、さ迷っているところが不安を呼びます。
ドリームチーム時代にも不安定なシーズンはありましたし、それでも最終的に笑えれば良いのですが、競争相手が波に乗りまくっているのも逆風。序盤に は6ポイントリードしていたマドリーに、今では4ポイント差を付けられてしまいました。。。ということで、結果に一喜一憂することを大得意とするクレなの で、今日はしょんぼりな日曜。バレンシア、エスパニョール、PSGに勝って上がりかけてきた信頼度も、また転がるように下がりがちなのであります。
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