控え選手中心のメンバーでも、どうにか負けず。
FCバルセロナが3年連続となるコパ・デル・レイ決勝進出を決めました。コパ決勝行きはここ8年間で6回目とのことですから、お見事の一言。ただし内容はやはりというかいまひとつで、いわゆる控え選手たちがアピールをしたとは言えません。目立っていたのは先発レギュラー格で唯一試合に出たラキティッチとセルジ・ロベルト、そして同点弾でチームの29試合無敗達成に貢献したカプトゥムあたり。カンプノウでのイダ(7-0)にてすでに勝負は決しており、刺激も緊張感も少ない状況とはいえ、もう少しポジション争いに名乗りを上げる選手がいてほしかったところです。バルトラは闘志は伝わってくるのですが、試合に出てないので選手として伸びない負の循環。
試合のポイントの一つは、バルサの通常とは異なる戦術デザインでした。ルイス・エンリケはこのバレンシア戦を戦術実験の好機だと考え、面子を考慮しベストだと判断した3-5-2システムに挑戦。3バック(バルトラ、ベルマーレン、マティエウ)の両サイドでアレイシ・ビダルとアドリアーノがカリレーロとなって上下動、中盤ではセルジ・ロベルトとサンペールがドブレピボーテとして並び、ムニールとサンドロの後ろではラキティッチがメディアプンタを務めるなどの新アイディアを試しています。さらに後半途中からはバルトラが右ラテラルの4-4-2へと変化させていました。
メンバーをほぼ総入れ替えし、システムも替えて臨んだ試合ですから、今回のパフォーマンスで“プランB”の選手たちを判断するのは酷といえます。エンジン全開でいくにはモチベーションも難しかった。とはいえ、大一番で先発起用される主力選手たちとの差が大きいことが再確認されたのも事実です。これからは落とせない試合が続々やってきますから、低調だった選手たちの何人かは次のチャンスをあまり期待も出来ないかもしれません。メディアで言われているように、左ラテラル、左セントラル、デランテロは補強が必要と思います。
なにはともあれ、クラブ記録を更新する公式戦29試合無敗記録おめでとう。この試合を自宅観戦し、エネルギーを充電したクラックたちが戻ってくる次のセルタ戦(@カンプノウ)も期待が出来ますし、この記録はもっと伸びていきそうな感じです。バルサがコパ決勝へ勝ち進むのも、これでなんと38度目。つい当たり前だと思ってしまいますが、すごいことですよ本当に。
ルイス・エンリケ 「決勝へ行くことに、クレは悪慣れしている」
3年連続でここ8年間では実に6回目となる国王杯ファイナル進出を決めた試合終了後、ルイス・エンリケが強調したのは毎年決勝戦へと勝ち進むことの難しさと、目標達成へのチームの頑張りでした。そして監督は、決勝進出が当たり前だと考えているクレに対し、決してそうではないと諭すように語っています。
「何度もファイナルへと勝ち進むことに、クレは“悪慣れ”しているよ。毎年決勝へと勝ち残るのは、非常に難しいことなんだ。コパの決勝はシーズンでも指折りのステキな試合だし、それに挑めることに私はとても満足している」
仰るとおり。そしてバルサが何故それだけ決勝戦へと勝ち進めるのか、監督の見解はこうです。「このクラブには毎年チームを考案し直す能力があるんだ。他とは違ったタイプの選手を見つけながらね。私は選手たちがこの道を進み続けるようにいつも応援してるよ」
前日会見に続き、今回のコパ準決勝ブエルタは奇妙な試合だった、とルーチョは繰り返しています。「イダで得た結果によって、通常とはかなり違った、奇妙な準決勝ブエルタだったよ。こういう試合への立ち向かい方は難しいもので、激しくプレーするためには適切な手を打たなければならない。選手たちの激しさと振舞いに私は非常に満足している」
ラキティッチをメディアプンタにするなど、戦術的な変更が行われた件に関しては、「出来るだけ多くの選手に、少しでも長い時間プレーをさせたかった。だからシステムを変えたよ。3バックにしたのはボールの出所を確保したかったからだ。チームは申し分なかったし、激しさも不足していなかったと思う。ラキティッチのメディアプンタはとても良かった」と説明した監督。また、ピッチサイドでデニム・ウンスエが指示を出していたのは「私の声のせいだ。3日おきに“歌う”喉を私は持ってなくてね。それに幸いなことに、私にはフットボル観を共有するウンスエがいる」とのことです。
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