選手とクラブ双方の利益を満たす解決策となるか。
ダニ・アルベス、マスチェラーノとともにこの夏の去就が注目され、移籍が濃厚だろうと各メディアに言われているマルク・バルトラですが、3日付のSPORT紙によるとサヨウナラ退団ではなく、一度バルサとの契約を更新した後のレンタル移籍になるんじゃないか、とのことです。セルジ・サンペールもそうなると考えられている、手放したくないけれど出場機会を与えられない選手への一つの問題解決策です。バルトラの場合は窮余の策の印象ですが。
関係を断ち切りたくない両者
2日の記者会見において、バルトラの状況について質問されたロベルト・フェルナンデスは、「マルクにとって最良の道を探していく。彼はすばらしい才能を持った選手で、当然のこととして出場機会を必要としている。私は彼に去ってほしくはないが、もしここを離れる場合でも、クラブとの関係を断ってほしくないんだ」とコメント。新天地へ行くにしても、里帰りする可能性を残したいと述べています。ここで関係を終わらせたくないのは、11歳からカンテラにいるバルトラも同じでしょう。
そこでバルサが提案しているという解決策が、前述の契約更新をして武者修行に出る方法です。クラブとバルトラの契約は2017年まで(SPORTは2018年と記述)、つまりあと1年になっていますが、これをひとまず2年延長した後、選手として成長するための2年間の旅に出る。もしくは買取オプション付きでの移籍か。2年後、26歳での出戻りがあるかといえば微妙かもしれませんが、これだけルイス・エンリケが使わないのですからプレーできる場所を探すのが一番でしょう。マルクにはカンプノウで成功する夢を叶える道は残りますし、2年後はルーチョがいなくなっているかもしれません。
肝心のバルトラがこの案をどう考えるかですが、SPORTによると受け入れる方向のようです。となると、重要なのは移籍するチーム選び。マルクの資質を伸ばせるチームでなければ意味はなく、バルサに似たスタイルを持ち、かつバルトラに関心のあるクラブをロベルト・フェルナンデスは見つける必要があります。ルイス・エンリケが好むデランテロがいるチームなら、お得にデランテロを獲れる可能性も出来て最高とSPORTは言いますが、そんな都合のいいところが果たしてあるかどうか。独BILD紙は、ボルシア・ドルトムントがマッツ・フンメルスの後釜にバルトラを選んだと伝えているそうです。
なんにせよ、この策であればバルセロニスタが期待するスペイン代表カンテラーノをわずか800万ユーロで手放すことをとりあえず回避できますし、クレの怒りも抑えられます。上手くいけば、出場機会さえ与えればバルトラはやれる選手だと実証でき、マルクは最後はバルサで成功できるかもしれない。事実かどうかはまだ不明ですし、苦し紛れのアイディアだとしても、なかなか良さそうな案ではあります。
出場試合数が30%に届かず、契約解除金が1/5に
マルク・バルトラの契約解除金が800万ユーロぽっちに減額された理由については、3日のSPORTに説明があります。それによると彼の契約書には、二つの解除金が設定されていました。出場試合がある規定数に達すれば2,500万ユーロ、届かなければ1,200万ユーロ。これが前回の契約更新の際に2,500万が4,000万ユーロに上がり、1,200万のところが800万に下がったそうです。800万ユーロに下がる条件は、出場率が30%に届かなかった時。クラブも選手側もさすがにそれは超えるだろうと考えた、楽勝クリアのはずの設定でした。
今季の62試合のうち、バルトラの出場は22試合。これは率にして35%にあたります。しかし契約では60分以上プレーしなければ出場にカウントされず、その条件だと26%になってしまうのだとか。計算ではおそらく、あと3試合出場で条件クリアでした。4,000万と800万では大違い。しかし理事会もロベルト・フェルナンデスもルイス・エンリケには敢えて圧力はかけず、結果こういう事態になったとのことです。これが事実かどうかは分かりませんが、理事会の働きかけでルーチョの起用法が変わるかといえば難しそうです。
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