現状が悲しく反映された、歴史的大大敗
あらゆる点で上回る、最高完成度のバイエルンがバルサを蹂躙。
欧州大会におけるクラブ史上最多失点(8)の敗北により、大改革は待ったなし。
チャンピオンズ準々決勝。FCバルセロナがバイエルン・ミュンヘンに8失点の歴史的大敗を喫し、深く大きな傷を負って残念なシーズンを終えた。一発勝負ならもしかして・・・との淡い期待も最強ドイツチームには全く通じず。攻守両面の完成度やダイナミズムで両チームには雲泥の差があった。バルサの黒歴史に、新たなページがまた1つ。
試合のポイント
●圧倒的な実力差:攻撃、守備、プレッシング、組み立て、活力。全てにおいてバイエルンがチームとしてバルサを上回っていた。多少は通用するかと思えたのは、アラバのオウンゴールで同点に追い付いた7分過ぎまで。しかし“対等の勝負”なんてのはクレが抱いていた幻であり、両者には圧倒的な実力差があることを、ドイツチームはすぐに示す。バルセロナに残されたのは、クラブ史で最大級の黒歴史だ。
●勝負になるかも、という錯覚:ゲーム序盤は、かろうじて勝負になりそうな雰囲気はあった。ミュラーの技ありシュートで開始3分にして先制に成功したバイエルンに対して、バルサはリアクションを示し、7分にアラバのオウンゴールによって同点(ジョルディ・アルバのセンタリングをクリアしきれず。スアレスの存在が焦りを呼んだ)。さらにメッシのFKなどからノイアーを何度か脅かすのだ。ここで逆転できた可能性はあった。だがしかし・・・
●バイエルンの嵐:バルサはまず、ビルドアップからダメだった。テル・ステーゲンにいつもの安定感がなく、ボールを前に運べない。セントラルたちもバイエルンの圧力の前にひどい状態に置かれた。そして嵐の9分間が始まる。まずは22分、セルジ・ロベルトがボールを失ったことを逃さずに、ペリシッチがテル・ステーゲンを破って1-2。さらに28分にはニャブリが、31分にはミュラーがネットを揺らし、点差はあっという間に3となっていた。
●全てが段違い:バイエルンは前線の選手だけでなく、中盤や両ラテラル、さらにはセントラルの選手たちまでが状況によってはバルサゴール前に押し寄せ、どこからでも得点機を作れる凄味があった。守備局面での寄せ、攻守の切り替え、前線への攻め上がり、それらがすべて段違いに速い。攻めの分厚さが全然違う。勝ち目はなかった。ビッグチームに挑む、格下チームのよう。あとは一矢報いられるかどうか・・・
●スアレスが意地を見せるが:後半の序盤、バルサは少しだけ流れを引き寄せた。選手たちが気概を示し、ルイス・スアレスが1点を返して見せたのだ(57分)。レオ・メッシの長距離パスに対してアルバが左サイドを駆け上がり、中央でボールを受けたスアレスが冷静にボアテングをかわして2-4。どうにかもう1点を返せれば、あるいはバイエルンも焦ったかもしれない。
●容易く再び3点差に:しかしバイエルンは慌てることもなければ、程々の勝利でバルサを許すこともなかった。彼らがちょっとその気になれば、バルサの守備は容易く崩せた。まずは63分、両ラテラルの突破(左のダビエスがセメドを破り、仕上げは右のキミッヒ)によって再び3点差へ戻すドイツ王者。セティエンはブスケツに代えてアンス・ファティを送り出し、4人デランテロで対抗したが、それでどうにかなるほどバイエルンは甘くない。
●公開処刑:ゲーム終盤はバルサの公開処刑だった。ブロックとしての体をなしていないバルセロナに対し、バイエルンが攻めのスイッチを再点火する。バルサをどん底に落とす役割を担ったのが、バルサから貸し出し中のコウチーニョってのもスパイスが効いていて良い。ブラジレーニョはレバンドウスキへのアシスト(82分)を皮切りに、85分、89分のドブレーテでセティエンチームに引導。歴史的なスコア 2-8でバルサを下したバイエルンが準決勝へと勝ち進んだ。
トピックス
●クラブ史有数の大敗:「2-8」はFCバルセロナが過去に喫した中で4番目に点差が開いた黒星で、ヨーロッパ戦では最悪。1931年のアスレティック戦(リーガ)における12-1、1940年のセビージャ戦(リーガ)での11-1、そして1943年のレアル・マドリー戦(コパ)における11-1に次ぐ大敗らしい。歴史的瞬間を、私たちは生きている!
●クラブ会長選挙へ:FCバルセロナのジュゼップ・マリア・バルトメウ会長が近々、会長選挙の招集を発表する見込み。試合終了後、バルトは「決断を下すことになるだろう。近日中に発表することになる」と語る。ただしクラブ規約上、解決すべき点がいくつかある様子。
●セティエンは契約解除か:バルサとの契約は2021年6月まで残っているキケ・セティエンではあるが、全うされるとは思えない。12シーズンぶりの無冠に加えて、彼の助手エデル・サラビアと中心選手たちとの緊張関係、自身の求心力の低下はもう修復不能だろう。唯一の共通目標だったチャンピオンズがこの結末を迎え、理事会は決断を迫られる。
●12シーズンぶりの無冠:FCバルセロナがタイトル獲得なくシーズンを終えるのは、フランク・ライカールトの最終年(2007/08)以来12年ぶりのこと。スーペルコパではアトレティコに、コパではアスレティックに敗れ、ラ・リーガではレアル・マドリーの後塵を拝し、チャンピオンズでは悪夢の大敗。
タタ・マルティーノの2013/14シーズンはかろうじて、スーペルコパを手にしていた・・・
Champions League | 1/4 final | |
14 de Agosto 2020 – viernes 21:00 h estadio Da Luz:— |
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FC Barcelona | Bayern Munich |
2 | 8 |
Goles | |
Müller (4) | |
Alaba (7) | |
Perisic (22) | |
Gnabry (28) | |
Müller (31) | |
Suárez (57) | |
Kimmich (63) | |
Lewandowski (82) | |
Coutinho (85) | |
Coutinho (89) | |
Titular | |
Ter Stegen【4】 | Neuer |
Semedo【2】 | Kimmich |
Piqué【3】 | Boateng |
Lenglet【3】 | Alaba |
Jordi Alba【3】 | Davies |
Busquets【3】 | Goretzka |
Sergi Roberto【3】 | Thiago |
De Jong【4】 | Müller |
Arturo Vidal【4】 | Perisic |
Messi (c)【4】 | Gnabry |
Suárez【4】 | Lewandowski |
Cambios | |
Sergi Roberto→ Griezmann【4】(46) |
Perisic→ Coman (67) |
Busquets→ Ansu Fati【3】(70) |
Gnabry→ Coutinho (76) |
→ 【】() |
Boateng→ Süle (76) |
→ 【】() |
Goretzka→ Tolisso (83) |
→ 【】() |
Davies→ Lucas Hernández (83) |
Entrenadores | |
Quique Setién【3】 | Hans-Dieter Flick |
Arbitro | |
Damir Skomina (slo) | |
Tarjetas | |
Suárez (54) | Boateng (43) |
Jordi Alba (58) | Davies (52) |
Arturo Vidal (90+) | |
名前の次の数字は評価点:平均点【5】 |
Estadisticas | ||||||
1a | 2a | Total | Total | 2a | 1a | |
1 | 1 | 2 |
Goles |
8 | 4 | 4 |
4 | 3 | 7 (5) |
Tiros a puerta |
26 (13) | 12 | 14 |
3 | 1 | 4 |
Ocasiones de Gol |
11 | 5 | 6 |
4 | 2 | 6 |
Corners |
9 | 3 | 6 |
2 | 2 | 4 |
Fueras de juegos |
2 | 1 | 1 |
278 | 213 | 491 |
pases |
458 | 223 | 235 |
52% | 47% | 49% | Posesion del Balon | 51% | 53% | 48% |
3 | 10 | 13 |
Faltas |
22 | 10 | 12 |
0 | 3 | 3 |
Tarjetas Amarillas |
3 | 2 | 1 |
0 | 0 | 0 |
Tarjetas Rojas |
0 | 0 | 0 |
Formación | |
ウンティティが負傷欠場。ブライスウェイトは未登録。アルトゥールは隔離。 おおよそ予想された先発イレブン。どうなるかと注目されたグリーズマンではなくビダルが起用され、スアレスとメッシを補完した。ボール非保持の時、ビダルは4-4-2の左サイドに入る。 今回もまた、選手交代は2人のみ(2試合連続)。 |
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Titular | Final |
2020年8月15日(土)、バイエルン戦翌日のバルセロナスポーツ紙。歴史的な大敗を喫しただけに黒いです。
MD「恥ずべき サイクルの終焉」
- ■恥ずべき、サイクルの終焉
- → バイエルンがバルサをめった打ちにする、歴史的ゴレアーダ
- → ピケ「僕らはどん底。もし必要なら、最初に去るのは僕になるだろう」
- ■判決を言い渡されたセティエン、続投はないだろう
- ■バルトメウは選挙を招集へ
SPORT「歴史的屈辱」
- ■歴史的屈辱
- → 失笑もののバルサが欧州戦で一番の大敗を食らい、12シーズンぶりの無冠となる残念なシーズンを終えた
- → ピケ「恥ずかしいことだ。僕らはどん底だ。クラブにはあらゆる変化が必要だし、もし新たな血が必要であるなら、自分が去ることを僕は買って出る」
- → バルトメウ「大変残念に思う。惨事だった。決断を下す必要があり、何人かはそれをすでに考えていた。すぐにも発表するつもりだ」
- → セティエン「もしピケが、全ての人生がここにある彼がそう言うのであれば、なんらかの決断を下す必要があるのだろう」
- ■チャンピオンズリーグ/マンチェスター・シティ対オリンピック・リヨン 21時
グアルディオラは本命として準決勝を目指す
コメント
今のバイエルンで、大敗で、よかったよ。
こうしてたまに爆死するのも我らがバルサ。フットボールを続けましょう…
前半の20〜30分でもう見ていられなくなり止めてしまいました。
メッシの閃きに頼り続けた不安定なシーズンを象徴するような結果でした。
時代の終焉は間違いないでしょうし、選手の離脱は必須とは思いますが、苦しい時にこそピケの様なメディアの矢面に立って発言のできる選手が必要になると思いますので、ぜひバルサの再建を支えて欲しいです。
4-3-3でガチンコで行って欲しかった。
それでも負けてたかもだけどバイエルンも前々に来てたから、ちゃんとパスつないでバイタルに攻めれれば、前半始まりの頃のようなチャンスがもっとあったはず。
血の入れ替えは免れないと思うけど、そもそもなんで失点したのかもちゃんと考えないと、来シーズンにつながらないのかなぁっと。
セメド抜かれたのは左足警戒できてないアホだからと思うけど、それ以外はパスコースなかったり、受け手がアホな位置にいて無理やりだしたり、セティエンの指示だと思うけど両翼ががっつり上がりすぎてないか?とか、何かしら真因があるはず。
これでラウタロ取って変わりましたとかやっても、9月からも同じサッカーするだけだと思うけどな。
ファンハール・レシャック時代以来、20年(!)近くこちらのサイトにはお世話になってます
いつもありがとうございます
なぜかペップ(監督)期以降10年近くは断続的にしか見てなかったのですが、この1-2年集中してみはじめたら再びの暗黒時代…
バイエルン戦は観るのが苦しいくらいの惨敗でしたが、完膚なきまでに老朽化したバルサを見せつけて頂いて明確な区切りになってよかったと思います(高齢化でインテンシティがまるで足りてなかった)
メッシ後のバルサを構築していかなければならないけど、現実問題この夏は時間が短すぎる
今夏、冬、来夏と段階をわけていかなければならないと思いますが、まずは会長交代が急務とおもいます
これからの暗黒期を乗り越えていく過程こそバルサ・クレの醍醐味と信じて、美しいトータルフットボールの再来を待ちます
バモス・バルサ!