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デンベレ2021:今度こそ、ベストバージョンの登場か

怪我体質がウソのように、連続出場しているモスキート
クーマンの信頼を手に、大きなチャンスをものにしようとしている

残り2分の土壇場から2点差を追い付き、延長戦にて逆転勝利まで持っていった国王杯1/4 final のグラナダ戦(3-5)。もっと楽に勝てたよなと思う反面、苦境にも屈しない強さが出てきたことが嬉しい試合でありました。ここへきて評価がうなぎ登りなのは、2021年に入ってから7得点7アシストを決めているアントワン・グリースマン。そして同じく戦力として計算できるようになったと喜ばれているのがウスマン・デンベレです。

グリーズマンの適応、ウスマンにも変化

関西人といっても、おしゃべりから無口までいろんなタイプがあるように、フランス人も様々だなとバルサのロッカールームを見ると感じます。

このところ赤丸急上昇中の アントワン・グリースマンは、陽気だけれどもすごく真面目なタイプ。チームの看板となれる存在ながら(メッシなる存在のためか)地味な汗かき仕事も厭いませんし、失敗補強だと疑念の目で見られようとも屈することなく遂に「さすが」との評価を勝ち取りました。
かつてはティティ・アンリもまた左エストレーモへの適応に苦しみ、それでもどうにか結果を残して、最終的には良い選手だったと表門から去って行った。今の様子だとグリジもまた、惜しまれつつ去る未来が待っているかもしれません。相当に高額な彼だけに、“元を取る”のは容易ではないですが・・・ 見てみましょう。

そしてウスマン・デンベレです。
家出してしまったネイマール王子の穴を埋めるべく、2017年夏、すったもんだの末にカンプノウへとやって来た快速エストレーモ。しかし彼のバルサでのキャリアは怪我に彩られ、まともに稼働できたシーズンはまだない悲しさです。
ピッチ外での騒動も数多く、「遅刻」といえば「デンベレ」と返す合い言葉が生まれるくらいに困ったちゃんキャラが定着。それが彼らしさでもあるんですけれどね・・・。

しかしここ最近、そんなデンベレに変化が見られているといいます。
モスキートが生まれ変わったらしい話はこのバルサニュースでも何度も書いているので(おそらく夏のたびに書いている)「聞き飽きたしwwww」みたいなことだと思うのですが、もう一回だけ取り上げてみます。ウスマンさんの真剣度が増し増しだという話です(ネタ元は1月23日版のSPORT紙)。

11試合連続出場中(先発8)

ウスマン・デンベレが変わった件を、まずはデータで見てみましょう。デンベレは昨年末の戦列復帰以来、求められてきた継続性をようやく発揮しています。

  • 20年12月29日 ラ・リーガ第16節 SDエイバル戦:45分(途中出場、1G)
  • 21年1月3日 ラ・リーガ第17節 SDウエスカ戦:90分
  • 21年1月6日 ラ・リーガ第2節 アスレティック戦:75分
  • 21年1月9日 ラ・リーガ第18節 グラナダ戦:73分(1A)
  • 21年1月13日 スーペルコパ準決勝 レアル・ソシエダ戦:120分
  • 21年1月17日 スーペルコパ決勝 アスレティック戦:88分
  • 21年1月21日 国王杯1/16 final UEコルネリャ戦:74分(1G)
  • 21年1月24日 ラ・リーガ第20節 エルチェ戦:74分
  • 21年1月27日 国王杯1/8 final ラーヨ戦:22分(途中出場)
  • 21年1月31日 ラ・リーガ第21節 アスレティック戦:87分
  • 21年2月3日 国王杯1/4 final グラナダ戦:57分(途中出場)

この過密日程ゆえ、さすがに国王杯はベンチスタートにはなっていますが、それ以外は全て先発出場。控えになった場合も後半には決まって局面打開のために起用され、持ち味のスピードとドリブルで存在感を発揮しています。
これだけ連続して出場し続けているのに加えて、スーペルコパのラ・レアル戦ではハイテンポな120分間を持ち堪えている。ガラスのデンベレはもう過去のものとなったと言わんばかりの変化です。

意識の変化

ではどうしてこのような変化が起こったか・・・チーム関係者に取材したSPORTによれば、それはデンベレの姿勢の変化によるだそうです。トレーニング開始前にジムで怪我予防のための運動に取り組んだり、セッション中には指示された休憩をきっちり取ったり、つまりは意識高い系ウスマンになったと。
エリートフットボーラーとして成功するためには厳格な振る舞いが不可欠であると3年半を経て気付いた、ってことで結構なことではないですか。気付かないより100倍良いです。えらいぞ。

SPORT曰く、バルサ内部ではデンベレの変化は20歳頃のレオ・メッシの変化、怪我体質だった彼が食事改善で強力なフィジカルを手に入れた変化と同じような道をたどると信じられているそうですが(超理想的)、まずはシーズン終了までこの流れを続けていけるかを見てみましょう。この1ヶ月は結果が出ているわけですから。

過去にも似たような状況はあった

デンベレは実は、2018/19シーズンも開幕から9試合連続で先発起用され続け、スーペルコパ(対セビージャ)では決勝点、ラ・リーガでも3節続けてゴールするなど2年目の覚醒を期待させました。パリへと去ったネイマールを上回る数字を残していたのです。きたか、と思った。

デンベレがキレている。重要なのは重要局面での活躍ぶり
ウスマン・デンベレが波に乗っています。今季はここまで6試合に出場し(489分)、5ゴールを記録。決定的なゴールがとにかく多いこと、これが非常に重要です。

しかし・・・

デンベレ、シーズン序盤の英雄ぶりも幻のごとし
ウスマン・デンベレがここ最近、バルサ界隈での主役のひとりとなっています。残念なのはそれが前向きな話題ではないこと。トレーニングへの遅刻は日常的だとか、デンベレのダメ話がさらなる盛り上がりを見せる今日この頃です。

意識の低い遅刻騒動やらが勃発して期待を裏切り、その後も期待と失望を繰り返しながら今に至ります。プレシーズンのたびに、今年は違うと言ってた記憶がある。しかし今季も序盤は完全にアンス・ファティの序列が上。ビジャレアルとの初戦は20分のみ、続く2試合はベンチ温め役でした。エル・クラシコも8分のみのプレー。存在感なかったですよね。。

クーマンの信頼

それが2021年に入ってから変わってきた。デンベレが使えると分かってからサイド攻撃をより重視するようになったのか、サイド攻撃をするようになってデンベレが生き始めたのかの分析は誰かに任せるとしまして、ここ11試合の起用法から見るにロナルド・クーマンデンベレを信頼しているのは確かです。ウスマンの眼前には、大きなチャンスが広がっている。今度こそ期待を上回ってほしいなぁ。冬の蜃気楼ではなくて。

SPORTによると、親友のグリーズマンの献身的なハードワークぶりが、ウスマンにとっての良い手本となっているそうです。高い買い物だったグリジが、各所で効果を発揮し始めたか。そこここで明るいニュースが出始めているクーマンバルサなので、今後のさらなる進展に期待しましょう。

※本当はここから、2021年夏マーケットの注目となるデンベレの契約についても書くつもりで、むしろそちらがメイン予定だったのですが、長くなってきたのでまた別の機会に。3月7日に誕生する新会長は、このデンベレに関しても重要な決断を下さねばなりません(売るにせよ残すにせよ、活躍しなければ話にならない)。

 

コメント

  1. トム より:

    何度か書いてきましたが、デンベレは才能においてはモノが違います。

    恐らく、幼少の頃からその才能は見せていたでしょう。
    長い手足でボール扱いは両足ともに特別級、パワーもスピードも備え、さらに天性のフェイク、微妙に「ズラせる」空気、対人スキルを持つ彼は、ボールを持たせれば無敵だったと思います。
    その才能は、ドルトムントまで登り詰めても、まだ先が見えないという特別な物。
    結局とんでもない高値を付けられ、才能と日々の練習だけで、20才でバルセロナまで来てしまった。
    ドルでも、練習嫌いや我儘の兆候は見られてましたし、バルサに来る際にも問題行動を取ってました。
    それでも、その才能に疑いはありません。

    バルサでのデンベレは、間違いなく最高の選手ではありません。
    メッシだけでなく、スアレス、イニエスタという彼以上の選手が居たからです。
    さらにネイマールロスとバルベルデ就任により、バルサは戦術上の転換期でもありました。
    デンベレもバルベルデの守備的要求に答えなければならず、今までのバルサとのイメージとの違いに、さぞかし苦しんだでしょう。
    さらに言えば、監督としてビッグクラブ初挑戦であり、選手時代もそれ程の経験はないバルベルデには、デンベレを導くような厳格な面も、余裕も無かった。
    結果、デンベレは腐っていきました。
    ルイス・エンリケが監督なら、恐らくデンベレには何らかの処置を取ったでしょうが…

    デンベレには、まだ彼を導く存在が必要だったと思います。
    ズラタン・イブラヒモビッチに、ファビオ・カペッロが必要だったように。
    クーマンは、その面では良い存在です。
    バルサへの愛情は疑いなく、また欠点も多そうですが、厳格さも持ち合わせます。
    さらにデンベレ自身も、生活面での問題から長期離脱の怪我という罰を受け、自らを反省する時間も多くありました。
    またバルベルデ時代に守備のタスクと重要性もある程度は覚えていて、それもプラスとなっています。
    そして、バルサはまたも戦術的転換点を迎えており、バルベルデの守備的戦術から、クーマンは攻撃的戦術に切り替えています。

    デンベレは今、自らを反省する謙虚さと、理想的な選手として目標とできる選手、自らを導ける「父性」を持つ監督、戦術的に必要とされるチームと役割、それら必要であった物を得ています。
    勿論それでも駄目な時は駄目ですが、デンベレには元々とんでもない才能があるのです。
    さらに彼が、その才能により眼の前の相手に勝てば良いだけでなく、メッシのように周囲を利用して崩すスキルも必要で、そこに向かって日々の研鑽が必要であると気付いてくれれば、さらなるモンスターにもなり得ます。

    デンベレには、移籍してきた当時から問題があるのは、皆薄々分かっていた筈。
    彼には、戦術面だけでない人生教育をも含めた指導と、成長を待てる周囲の忍耐が必要でした。
    今ようやく、挫折と精神的成長の末に、花開こうとしているのだと思います。

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