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切れ味増す メッシのフリーキック

デビュー12年目、また新たな武器を身につけたクラック。

リオネル・メッシがプリメーラでデビューを飾ってから、今年で12年目となります。その後、数々の偉業を達成し、世界最高選手の称号を手にして久しいバルサの10番ですが、彼の偉大なところは野心を保ち続け、常に自らを超えていくところにあります。年を経るごとに得点のレパートリーを増やし、成長を続けているメッシ。今シーズンはフリーキックでの得点が目立って増えていまして、先日のセビージャ戦でセルヒオ・リコを破ったカミソリシュートで6つめだそうです。過去の最高記録は2012/13の4ゴールでした。

自己ベスト更新中

驚異のゴールスコアラーとしてあらゆるチームのゴールネットを揺らしてきたレオ・メッシですが、フリーキックの精度は数少ない課題といわれ、この技では白組の7番さんがレオを上回っているとされてきました。バルサ公式ウェブのデータによるとメッシの過去シーズン最多は2012/13の4得点で、以下2011/12、2013/14の3得点、2009/10、2014/15の2得点、2008/09、2010/11の1得点となっています。

それがこの2015/16シーズンはすでにフリーキックから6得点をマークしており、自己ベストを更新中。ここへきて新たな武器が決まりだしていることに驚嘆しますが、それもただネットを揺らすだけでなく、どのゴールもチームにとって価値あるゴールであるところがレオの素晴らしさです。

たとえばシーズン最初のフリーキック得点はセビージャとの欧州スーパーカップ(5-4)でした。ペドロの決勝弾でバルサが劇的勝利を収めるこの試合で、メッシは同点(1-1)、さらに逆転(2-1)のゴールをフリーキックから獲得。デポルティーボ戦の先制弾、コパ・デルビーでの逆転弾(2-1)、セルタ・デ・ビーゴ戦の先制弾、そしてセビージャ戦の同点弾と、チームが必要としている局面で大エースはフリーキックを沈めています。

さらにバルサでのフリーキック22得点のうち17得点(MD情報。SPORTでは19得点)が、同点弾もしくは先制/逆転弾だったらしく、貢献度の高さが伺えます。

ちなみにツイッターを介してフットボルの数々のデータを提供しているデータ魔人の MisterChip さん(42歳)によると、クリスティアノさんはここ最近100回のフリーキックでわずか3ゴールなのに対し、レオ・メッシは8ゴールを決めているそうです。CR7さんは昨年3月に51回連続失敗中と言われていたので、ここ50回ならさらにレオの圧勝ですかね。

回転のかけ方を体得

3月1日付のSPORT紙は“完璧なシュート”と題し、メッシのフリーキックの秘密について特集を組んでいます。どうしてバルサの10番が今季はこんなにフリーキックを決めるようになったのか、同紙によるとその理由のひとつが、“メッシが体の使い方を体得したから”だそうです。

SPORT紙は科学的な視点からヒントを得るべく、バルセロナ大学の基礎物理学研究部門を訪れました。そこで手にした答えが、マグヌス効果。インターネットで調べてみますと、マグヌス効果とは「一様流中に置かれた回転する円柱または球に、一様流に対して垂直方向の力(揚力)がはたらく現象」とのことで、ボールに回転をかけることでいろんな動きをするという、野球のピッチャーがよく活用している現象です。

で、メッシがそのような物理的な現象名を知っているかどうかは別として、この強さでこれくらい足を捻って蹴れば、ボールはこう飛んでいくと日々のトレーニングの中から体得しているのは間違いないでしょう。そのフリーキック地点からゴールまでの距離、角度、壁の枚数などを見て、過去に蓄積された脳内データから必要とされるシュート強度を導き出して正確に蹴る。今季のフリーキック6得点はエリアの向かって左だったり、右だったり、中距離だったりと蹴る場所はてんでバラバラで、それでも決まっているのが能力の高さを示しています。共通しているのは、シュートがポルテーロから見て左に刺さっている点です。

つまり最近のレオ・メッシはフリーキックの地点がどこであろうとも、ボールを望むコースと速さで飛ばすための蹴り方を体得し、それに磨きをかけてきたと推測できます。エリア周辺でのファールが致命的となると、ネイマールや彼の必殺ドリブルもさらに活きてくる。2016年は16試合ですでに17ゴールをあげており、これは年間91ゴールを決めた2012年を上回るペースってことですし(MD紙)、年月が経っても衰えるどころか向上していくその精神力にまず平伏しますなぁ。

遊びの中で技が磨かれた?

この様子だと、我らの大エースは、フリーキック部門においてもフットボル界有数の名手となりそうです(既になっている、が正解か)。SPORT紙によると、そのレオに最初にフリーキックを試してみなよ、と誘ったのが今は亡きティト・ビラノバなんだとか。カデッテチームの監督だったティトレオをフリーキック練習に誘ったことが、今日へと続く道の第一歩となりました。

興味深いのは、レオ・メッシがチームトレーニングにおいては「特にフリーキック練習をしていない」とのチーム内の人物のコメントが紹介されていることです。では何故今になってフリーキックでの得点が増えたのかというと、ロッカールーム内にいて彼をよく知る人物曰く、「回転を理解したんだ」とのこと。昨季はフリーキックから2得点でしたし、例のマグヌス効果をここへきて真に体得したということでしょうか。

SPORT紙は、トレーニングの後でメッシがネイマールやスアレスピケたちと遊んでいる“的当て競争”もその体得の一要因だと推測しています。クロスバーに最初に当てたヤツが、バスケットのゴールに最初に入れたヤツが、40m先のミニゴールに最初に入れたヤツが50ユーロGETな、という日々の遊びで、メッシの技術が磨かれていった説。ネイルイシートの蹴り方を見て、技を盗んだのかもしれませんね。バルサでは全然蹴りませんが、スアレスもフリーキックが上手ですから。

 

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