インテル戦・マドリー戦での落胆をバネに、上昇に転じるためのビジャレアル戦
勝点3を得ることが流れを変える方法で、打開のために全力を尽くすと監督は言う
チャビのバルサが重要な局面を迎えています。インテルに引き分けてチャンピオンズが事実上敗退となり、ラ・リーガではレアル・マドリーに完敗。果たしてこのプロジェクトは大丈夫なのか、との疑念がむくむくと膨らんでおり、下手すると嵐に突入するでしょう。今宵のビジャレアル戦は不安を払拭し、再出発するための第一歩。チームのリアクションに注目が集まります。
仕込みには時間がかかる
バルサで歴史を築いてきた偉大なる先輩監督たちも、最初から全てが順調だったわけではありません。
例えば現在のバルサのフットボル像を確立させたヨハン・クルイフにしても、いきなりドリームチームを作れたわけでなく、花開いたのは監督就任から3シーズン目だった。それまでは解任の危機もあったと記憶します。
御大がカンプノウに降り立った1988年といえば、“エスペリアの反乱”が発生するなどチームが相当に傷んでいた時。大改革されたスカッドで選手たちがクルイフのフットボルを習熟するには時間が必要だったわけです。
チャビ・エルナンデスもまた、新たなところからチームを作る任務を負っています。
彼のチームの平均年齢は24歳台と若く、バルサのDNAを持つカンテラーノたち(ぺドリ含む)はまだ10代。もしくは大ベテラン。これはペップやルイス・エンリケと比べて不利な条件ですし、選手たちの心身にチャビの教えが染み込み、自動性を得るには時間がかかるのだ、という理屈です。
これまでのチャビチームのフットボルや采配を見て、将来性や未来を感じられるかというと正直微妙なところなんですが、それでも信じて応援するとなると拠り所がほしい。完成には時間が必要である、というのは、それに当たるでしょう。人は自分が信じたいものを信じるのです。
成功するためのチームはある
さて、今宵チャビチームは大きなプレッシャーの中、ビジャレアル戦に臨みます。目的は言うまでもなく、良いイメージを示してインテル戦・マドリー戦で生まれた疑念を和らげること。週末のアスレティック戦と合わせて、チャビやチームの反発力が試される重要な一戦です。
チャビがプロジェクトを率いて行くのに理想的な人物なのか、それを測る一つの物差しが、インテル戦以前から低調になっているフットボルの原因分析と修正力でしょう。ファンとしましては、とりあえずはわくわくを感じられれば満足かな。デンベレ頼みとかはもう要らない。
ということでビジャレアル戦前日会見のチャビコメントです。
先の二試合が内容も結果もアレだっただけに、報道陣からの質問も際どさが増してきているようで、チャビの将来に関する問いも行われています。主だったものを取り上げると、次のような感じです。
■ 将来について
「私はクラブや選手たち、ソシオたちに誠実でなければならない。成功を得るためのチームは作ったと思うんだ。責任や批判は引き受けるよ。あとは働くことだね。まるで家族が亡くなったかのように、励ましのメッセージばかり受信してるんだ。バルサには移行期は存在しないし、私たちは競っていくことを義務付けられている。クラブは努力をしてくれたよ。もし成功を手にできなければ、私にも影響があるだろう。タイトルを獲れなければ、別の監督がやって来るさ。言い訳は探したくないんだ。監督から選手まで、全員に責任がある。この状況を自然と受け入れるようにしている」
■ 解任されたら
「いかなる瞬間であろうと、理解するだろう。監督とはそういうものだからね。街の人たちは私を励ましてくれるよ。ポジティブに、それがフットボルだ。続けていかなければならない。ベルナベウでの一敗が私たちを止めることはない。もしチャンピオンズを敗退するなら、現実と戦っていくさ。私はいつも前向きなんだ」
■ セルヒオ・ブスケツへの批判
「負けた時は、誰もが批判に晒される。私たちはバルサだからね、普通のことだよ。とはいえ、ブスケツが非常に重要な存在であることに変わりはないんだ。彼は私たちにとってカギとなる選手。他のカピタンたちも含めて全員がスイッチオンだよ。私はポジティブな人間なんだ」
「彼の契約が終わる、それは現実だ。決断は彼が下すだろう。私も現役時代には契約更新のオファーを受けていたけど、退団することを決めた。とはいえブスケツが重要な選手であることに変わりはない」
■ 現状の打破は可能か
「自分もかなりのクレだから心配はしているし、物事が上手くいってほしいさ。物事を変えていくため、ハードワークを続けていくよ。簡単ではないけれど、そのために全力を尽くす。タイトル獲得が目標であることに変わりはないし、そう選手たちに明確にするよう働いていく」
■ 現状を打破する方法
「良いトレーニングをすること、前向きであること、良い試合をすること、そして3ポイントを手にすることだね。それが流れを変えるための方法だよ」
■ バルサの問題点
「チームや構造の誤りだ。守備ラインの過ちだよ。攻守を改善するためには、戦術面を複数修正しなければならない。改善すべき問題を見つけ出すようトライし、選手たちに伝えていく」
■ チャビが選手ならこのバルサを楽しむか
「もちろん。すごく楽しむさ。私は選手たちが心地よくプレーできるようしているんだ。自分がプレーをしていた時と同じアイディアを続けるようしている。具体的には、ペップがやってきてからのアイディアだね」
■ スタイルへの疑問
「自分たちのアイディアを持って私たちはプレーをしている。インテル戦もマドリー戦もそうだったよ。私たちは主役になろうとし、攻め、相手よりも多くのシュートを放ち、守備ラインは高かったんだ・・・ 結果が出るようにハードワークしていくよ。私たちには明確なアイディアがある」
■ マドリー戦でのメンタルの弱さ
「メンタルの問題だったとは思わない。2-0から同点に追いつけそうだったんだ。私たちはマドリーを自陣に閉じ込めた。前半と後半にそれぞれ同点にする機会があったので残念だ。マドリーは偉大なチームで、ラ・リーガとチャンピオンズの現王者なんだ。戦い続けないとね。明日には新たなる戦いがある」
■ クライシスの理由
「シーズン序盤は良かったけれど、今は以前のように良くはないね。一歩ずつ進まなければ。ベルナベウで負けたとはいえ、首位からは3ポイント差だ。立ち止まることは許されない。シーズンはとても長いからね。改善が成功への道。成功と失敗は紙一重だよ」
■ デンベレとラフィーニャ
「変更があるかどうか見ていこう。相手チームは私たちに対し対策を取っている。エストレーモたちが成果を出すためには、私たちはもっと速くボールを回さなければならないんだ」
■ フレンキーのポジション
「私は彼をインテリオールとして見ているけれど、彼はピボーテとしても役に立つ。ひとつの解決策だし、サリーダ・デ・バロンやゲームメイクにおいて大いに貢献することができる選手だよ」
いかがでしょうか。
この会見での言葉を見た感じでは、チャビは彼のチームのプレーアイディアをペップの系譜を継ぐものだと考えている。全然そんなふうに見えないのは、私がなにか本質的なものを見誤っているのでしょう・・・
チャビが言う通り、シーズンは長い。当面は厄介なムンディアルまでどうにかこうにか凌ぎつつ、後半戦での逆襲を願っていきましょう。不安になっているクレをフットボルで安心させてほしい。まずはビジャレアル戦で良いイメージを。
コメント
バルサで長期政権を維持するのは強烈なカリスマと類まれなメンタリティが必須ですが、彼にその資質はあると思っていますし、彼以外にはしばらく出て来ない気がします。
それだけに現状のチームが上手く行っていないことは残念でなりません。
就任後50試合の成績に関してはチーム状況もあるので額面通りに受け取る必要はないと思いますが、戦術面で成果が全く出ていないのは事実ですね。
期間を経れば良くなるものかわかりませんが、少なくとも今シーズン中に首にならずに来シーズンへ希望を繋ぐことができる程度の成績は残してほしいものです。
ピボーテやラテラルにエリックって手は無いのでしょうかね。
勝手は違うでしょうが、セントラルで凡ミスされるよりは安心できますし、推進力とパスセンスはあると思うので…
見てみたいだけですが。
はじめて投稿します。
1990年代後半からのクレです。
∞さんのおっしゃる通り、
長期政権前提ならシャビが最も適した人物だと思います。
来季タイトルが獲れるなら、今期無冠でも良いじゃないですか。
2023-24奇跡の3冠の時の監督は
やっぱりシャビでなくては。
イチ素人ですのでなんの説得力も無いのですが、
イチクレなんだから、、
そんな大きな夢を見たっていいんじゃないですかね。
お疲れ様です。ゆうさんの語り口トーンが変化しているのが気になりますが(笑)、ここは、応援するしかないですね…。
ペップ時代から同じハナシしてきましたが、選手としてのシャビとイニエスタが抜けてから、それまでの「守備が沢山いる方向からコンビネーションで攻める」フットボールは、失われてると思います。これは、ひとつのバルサスタイルだとは思いますが、才能もないと実現できませんよね。
シャビは、自身のスタイルを「ポジショナルなプレー」といってますが、はたまた、これがどういうイメージなのか、今ひとつわからない…といったところでしょうか。
今朝は、まずまず良い試合したようですし、まあ、見てみましょう。ではでは失礼します。
今朝の試合はまずまずの内容でした。
世間では、コレコレ!コレが見たかったみたいな論調なのかもしれませんが、
アンスやアルバ、フェランをつかえばコンビネーションからの崩しができることはシャビも分かっていたと思うんですよね。
メッシがいた一昨シーズンもこのくらいはできていたので。
そこをなんで今まで使わないできたのかが、割と気になってます。
アルバに関しては、給与もふくめ政治的な判断もあったのかもしれませんし、アンスは怪我、フィジカル面もあったのかもしれませんが、シャビが自分のハイWG戦術にこだわったような要素もあるような気もしてます。
そして今後このコンビネーションによる崩しのスタイルを大々的に復活させていくのかはわかりませんが、しかしヨーロッパの熾烈なコンペティションを勝ち抜くためのニューバルサスタイルのビジョンってこの復古的な方向性でいいんだっけ?という疑問もあります。
そのへんのプレービジョンが、ネタばらしはできないでしょうが今後の試合で示されていくのか、まだシャビに対して懐疑的ですが見守っていきたいと思います。
ちなみにフレンキーのピボーテは推進力・流動性の観点からは良いのですが、守備面ではあちこちに穴を空けるのでこちらもまだ懐疑的です。
エリックのピボーテは自分も夢想はするのですが、フィジカルの軽さがやや心もとないです。ポジショニングとフィードセンス優れてますけど。
ニコをレンタルバックするほうが先決かと。
またダラダラとすみません。