ペリコの激しい当たりを技術とプレーで凌駕したバルサ。
0-0に終わったコルネジャ・エルプラットでのリーガ対決からわずか4日後。舞台をカンプノウへと移して行われた国王杯対決の第一幕もまた、先のデルビーと同様にハイボルテージの試合となりました。バルサのフットボルを封じるべく、エスパニョールが用意した作戦は今回もまた激しく当たっていくこと。激しい戦いはそれはそれでデルビーっぽいのですが、揉め事多発となりますとさすがにうんざりです。最後は技術で勝るバルサが4得点をあげての勝利で土曜日の雪辱をし、怪我人も出ず、1/4ファイナルへと大きく前進したので良かったのですけれど。アルダ・トゥランとアレイシ・ビダルは待ちに待ったバルサデビューおめでとう!
勝利を先導したメッシ王
先週土曜日(2日)に行われた2016年の初ゲームにてバルサ対策が機能したエスパニョールが、このコパ対決においても同様のレシピを用いてくることは当然です。ルーチョチームとしては相手のハードなプレーに対し準備を整え、コルネジャでは上手くいったことがカンプノウで繰り返されるわけではないと示すだけ。羽をばたつかせ、くちばしや爪を立ててくるインコ(=ペリコ)をフットボルによって成敗することが、この水曜日の目標でした。
予想されたとおりに今回もまた青白インコの暴れっぷりは激しく(攻撃的にきた勇敢さは称えられる)、ダニ・アルベスのパス失敗を利用されて先制点も奪われてしまったのですが、4日前のコルネジャ対戦との違いはレオ・メッシ王がレジェス・マゴスとなってバルセロニスタにゴラッソを届けなさったことです。メッシがメッシであれば、確実に大仕事をしてくれる。ありがたや、ありがたや。
格下の相手に大量得点することではなく、チームが困った状況にある時にこそ現れて決定的な仕事をするのがエースであるなら、この日のメッシはまさに大エースでした。まずはペリコに先制された4分後にドン・アンドレスの芸術的パスを受けて左足シュートを突き刺し、反撃の狼煙とすると、前半終了間際には完璧なるフリーキックで逆転の一撃。2-1となったことでバルサは試合の流れを我が物とし、後半にじっくりととどめを刺すことに成功しました。
ネイマールの突破力、1対1での打開力。イニエスタの卓越したボールコントロールと指揮。レオ・メッシのクラックパワー。激しくはあったけれどもまだ荒れていなかった前半は、拮抗した内容で楽しめました。
後半はバルサが圧倒的に支配。前半のうちにカイセドとアセンシオが負傷したエスパニョールは、バルセロニスタの攻撃に耐えるのが精一杯でした。点差がついても彼らはよく粘っていたと思います。しかしペリコの熱さは悪い方へと転がり、口論に次ぐ口論、退場者に続く退場者、トンネルでの罵声騒動と後味の悪い結末となっています。
4-1という上々のスコアを手にしたことで、バルサは目標としていたイダでの決着をほぼ達成したわけですが、ピッチ内外での騒動が多発したことで次のコルネジャが加熱するかと思うと、来週のデルビー第3ラウンドも結局、憂鬱な気分です。デルビー・バルセロネスはどう転ぼうと、大抵面倒なものになるなり^^; 現場の選手たちは、前向きに闘志を燃やしてるでしょうけれど。
今回改めて分かりましたことは、フットボル界を代表する真クラックたちが気合を入れて激しくプレーすれば、フィジカルパワーだけで上回るのは相当困難であることですかね。メッシ、イニエスタ、ネイマール、ブスケツ、アルダ、ピケetcのテクニックとフットボルが、ペリコの羽根をむしり取った。決着はまだですが、ひとまずリベンジは成りました。
ルイス・エンリケ 「状況をコントロールすべきは審判」
ルイス・スアレスがロッカールームへの通路でエスパニョール選手になにやら言ったとか、エスパニョールの選手もまたなにやら怒鳴っていたとか、事態を収拾させるためにルイス・エンリケがペリコたちを宥めていたとか言われるこのコパ・デルビー第一戦ですが、選手たちの熱さがスポーツの域を超えてしまった件に関し、試合終了後のバルサ監督はこういった状況をコントロールすべきは審判であるとの見解を示しています。
「限界点を明らかにすべきは選手でも監督でもなく、審判たちなんだ。審判たちがこのスポーツがアメリカンフットボールにならないようにコントロールしないといけない」
そしてルーチョはデルビーなのだから「緊張感があるのは普通のことで、選手たちはお互いのことを知っており、特有のライバル関係もあるのだけれど、それをポジティブな方向から理解することが求められる」とコメント。「私たちはプレーに集中するのがベストだ。スポーツ外のことに気がいくことを私は心配している。でもまあ、なんてことはないさ。これがデルビーなんだ」と、場外戦のことは忘れるようにとのメッセージを送っています。
ロッカールームへの通路で両チームの選手たちが何を言っていたのかとの質問には言及を避け、「大声?あれはクリスマスキャロルだよ」とジョークでかわしたルイス・エンリケでした。
カサでの第一戦に4-1で先勝したことについては、満足感を示しながらも、もっと点を奪えたとバルサ監督は言います。「4-1は私たちの優位さを反映してはいるものの、点差は少なかったと思う。私たちはもうあと何点かを決めることが出来たからね。エスパニョールは良く守っていたよ。いずれにせよ、私たちはコルネジャでも勝ちを目指していく。勝敗はまだ決まってはいない」
デルビーゆえ、試合は幾つかの局面で非常に激しくなりました。「私たちが好むレベルよりも試合のリズムが上がりすぎた瞬間が幾つかあったけれど、目標は達成できたと思う。可能なかぎり多くの時間プレーをすること、スペクタクルを提供すること、ベストなプレーをすること、私たちのファンが楽しむこと、それらが私たちの目標だった。風が強く、方向転換が上手くいかない場面も何度かあったとはいえ、概ね上手くやれたよ」
待ち焦がれたバルサデビューを果たしたアルダ・トゥランとアレイシ・ビダルについては、「どちらのプレーも好かったよ。久しぶりの出場だったけれど、アルダはチームに基準とデスボルデ(相手を抜くプレー)、解決策を与えてくれる。アレイシも良かった。今回は短い時間だったけれど、これから資質を見せてくれることだろう」と自チームでの初出場を称えた監督。最初は硬さのあった二人でしたが、今後を期待させるプレーを見せてくれました。
そして最後、円熟の境地に達しているイニエスタについては、「唯一の周辺視野を備えた選手だね。彼のような選手はチャビしか見たことがないよ。彼は自分の後ろが見えているし、決断力、アシスト、ボール奪取に高い能力があり、ドリブルで相手を抜き、フットボルのアイディアがファンタスティックだ。またと現れない選手だよ」と絶賛したルーチョでした。
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