クラシコに間に合うかどうかも微妙と。
4-1と完敗したセルタ・デ・ビーゴ戦を受け、快勝してリアクションを示したかったラス・パルマス戦。9番ルイス・スアレスとセルジ・ロベルトの活躍によって2-1で勝利したのは朗報なのですが、それを塗りつぶす悲報があったことで、バルセロニズモは重苦しいムードに包まれています。大エースであるリオネル・メッシが左ヒザの靭帯を損傷し、回復には7-8週間を要すると判明。昨季の怪我の少なさとは打って変わったように負傷者が続出しているルーチョチームですが、一番怖れていたメッシの怪我がここでやってきてしまいました。これはもうある意味開き直り、チームの結束をより強固にすることで試練を乗り越えていくしかありません。タタチームの時も、シーズン前半のレオ不在をなんとか凌いだバルサです。
最初のシュートでヒザを負傷
バルセロニスタにとって最悪の出来事が発生したのは、ラス・パルマス戦が始まってわずか3分後のことでした。エリア内へと切れ込み、シュートを放とうとしたレオ・メッシをペドロ・ビガスがブロック。2人が同時にボールを叩いたことでメッシの左ヒザ靭帯はダメージを受け、クラックは苦悶の表情を浮かべてグラウンドに倒れました。起き上がれないメッシに凍りつく、カンプノウとテレビ前のバルサファン。急いで駆けつけたリカルド・プルーナ医師の触診を受け、一度はプレーを再開したレオでしたが、ヒザの感触は良くはありませんでした。少しのプレーに関与した後メッシはベンチへと交代を要求、9分にムニールと交代でピッチを後にしています。
レオ・メッシはその後、友人でもある世話係のペペ・コスタ、プルーナ医師らに付き添われてバルセロナ市内のクレウ・ブランカ病院へと直行し、精密検査を受けました。こちらはラフィーニャも検査を受けたクリニックで、良いMRIがあるらしく。そのMRIによる検査の結果、メッシの左ヒザ内側側副靭帯に損傷が確認され、回復には7-8週間を要するとのクラブ発表がなされたのでした。
ハーフタイム頃には“メッシは3週間の負傷”との速報が流れ、それに凹んでいたバルサファンでしたが、現実はさらに深刻だった。7-8週間、、、2ヶ月、、、要手術でなかったことを喜ぶべきかもしれませんが、悪夢なのに変わりはないです。
エース不在での8試合
7-8週間の離脱となると、ルイス・エンリケがレオ・メッシを起用できないのはおよそ8試合です。来週のレバークーゼン戦(カンプノウ。以下C)、セビージャ戦(敵地。以下F)に始まり、代表ウィークを挿んでラーヨ戦(C)、BATE戦(F)、エイバル戦(C)、ヘタフェ戦(F)、BATE戦(C)、ビジャレアル戦(C)、そして再び代表ウィークを挿んでの11月21日のレアル・マドリー戦が微妙なライン。昨年のルイス・スアレスの出場停止明けといい、不思議と絶妙な位置に入ってくるベルナベウクラシコです。ここにレオが間に合うかどうかが、決戦前の大きな話題となるのでしょう。
クラシコまでの対戦カードはマドリーよりもバルサの方が幾分有利、と言われていましたが、メッシの負傷によってルーチョチームの状況は厳しさを増しました。苦戦が予想されるのは来週末のセビージャ戦(サンチェス・ピスファン)と11月8日のビジャレアル戦(カンプノウ)。いつもはウイルスの発生が怖いパロン(リーガ中断)ですが、10月と11月にそれぞれ入っているこの期間は、バルサにとってありがたいものになりそうな感じです(FIFAウイルス感染者がでないことが前提)。
いずれにせよ、ルーチョバルサはメッシ不在の2ヶ月間をどうにか乗り切る、その解決策を見つけ出さねばなりません。レオの長期離脱で思い出すのは、タタ・マルティーノ監督時代の2013/14シーズンのことです。この年メッシは前シーズンからの筋肉の負傷を引きずっており、11月10日のベティス戦(ビジャマリン)にて大腿二頭筋を負傷。全治6-8週間となりました。
この時もバルセロニスタは大きな衝撃を受けましたが、エース不在の9試合をタタチームは7勝2敗(アヤックス、ビルバオに連敗)とまずまずの成績で試練をクリアしています。確かセスクが“偽9番”となって前線はアレクシス・サンチェスとネイマールの2トップ。その他、ペドロ・ロドリゲスとクリスティアン・テージョも要所で良い働きをしていました。今季はその頼りになるペドロがおらず、チャビ・エルナンデスもいない厳しさですが、4-4-2を試すなどしてどうにか解決策を見つけなければならない。サンドロとムニールがアピールチャンスを活かすことも重要で、ギガクラックの穴を全員の力で埋めることが求められます。
ルイス・エンリケ 「チームは乗り越えられる」
2-1で勝利したラス・パルマス戦終了後のルイス・エンリケによる記者会見は当然ながら、レオ・メッシ負傷に話題が集中しました。そこでバルサ監督が強調したのは、偉大なるエースの不在はチームにとって打撃だけれど、選手たちは逆境を乗り越えていくだろうとの信頼でした。「怪我はフットボルや選手たちにとって最も悲しいニュースのひとつ。メッシについては、チームにおける彼の重要性は誰もが分かっていることで、それを一々言う必要はないだろう。私たちのチームにはクオリティの高い選手が数多くいる。努力することで前進していけると確信しているよ」
「フットボルや人生で怪我は起こりえること。怪我なく全てが回る時もあれば、そうでない時もある。怪我で選手が離脱した時、リアクションを起こさなければならないのはチームであって、一人の選手に責任を負わせることに私は賛成しない。繰り返すけれど、このチームは上手くやっていけることだろうし、良い結果を導き出す力があるよ」
FIFAとかいう組織の嫌がらせが終了する1月までなんとか、、という考えには、ルイス・エンリケは賛同しません。その理由はこうです。「1月までの全試合に勝ち、そこから全部負けるかもしれない。この状況は私たちにとって、克服すべきテストでありモチベーションだよ。私たちはこの挑戦を受け入れる。為すべきことはパフォーマンスの改善であり、それは私たちの手の内にあるんだ」、「今はこのチームが何をやってきたか、それを見るための瞬間だ。私たちが良い状態になっていくことに、私は疑問を抱いてはいない」
チームのカギを握る中心選手メッシが不在だという理由でプレーシステムを変更する考えはない、と監督は言います。「メッシがいないからといって、バルサのプレーが別物にはならないよ。同じようにプレーをしていくだろう。メッシは私たちを多くのことから解放し、解決策をもたらしてくれるけれど、今はそれをグループで分担しなければならない」
ラス・パルマス戦については、シュート精度を上げることが苦戦を免れる方法だとルーチョは述べています。「私たちは穴のない試合をし、外したペナルティを含めて試合を終わらせるためのチャンスを次々に作り出したけれど、とどめを刺すことができなかった。ここ最近の傾向なので、その点には不満だよ。その点を変えなければならない。全ては私たちのエラーから生じていることだ。落ち着いて勝てる試合を自分たちのエラーで複雑にし、ラスト5分で苦しむことになった」
試合の主役の一人となったセルジ・ロベルトについては、「ポジション変更には適応の時間が必要なのが普通なのに、セルジ・ロベルトにはそれが不要だった。他の選手たちも彼のように一歩前進してくれる事を期待してるよ」とご満悦のルーチョでした。
■試合の主役はスアレスとロベルト
ゲームの内容としましては、冒頭でいきなりレオ・メッシが負傷交代したこともあって、前半の出来栄えはいまひとつでした。しかし、これぞ9番の活躍をしたルイス・スアレスの2ゴールが決まった53分から、エラーで1点を返された88分までは危なげのない展開。セルタ戦で指摘された激しさの欠如も、まずまず取り戻せていました。
大エース不在のチームを牽引したのは、ドブレーテで勝点3をもたらしたルイス・スアレスと、右ラテラルとして溌剌プレーを見せたセルジ・ロベルトです。レオ負傷のショックにカンプノウが揺れていた25分、相手デフェンサの緩いマークを見逃さずに正確なクロスを上げたロベルトと、力強いヘディングによってそれを沈めたスアレスと。このゴールにはただの先制点という意味だけでなく、チームとスタジアムを落ち着かせる大きな効果がありました。後半早くにスアレスが2つめのゴールを決めた以降は、バルサがほぼゲームを支配。ルイス・エンリケが指摘したように、ここでせめてあと1回ネットを揺らし、とどめを刺せなかったのが今のチームの改善点の一つです。
ダニ・アルベスが怪我から回復したことで、前節セルタ戦はインテリオールとして出場したセルジ・ロベルトでしたが、ダニがベンチとなったこのラス・パルマス戦は再び右ラテラルでフル出場。スアレスの先制点をアシストしただけでなく、攻守両面において非常に効果的なプレーをすることで、自分がアルベスの代役に止まらず右ラテラルのレギュラーになる能力があることを示しました。後々には“メッシが大怪我をした日”として記憶され、その他の事柄は二の次であるラス・パルマス戦ですが、このセルジ・ロベルトの活躍は朗報。次はサンドロやムニールが続いてほしいのですが、どうなりますでしょうか。
さて、なにかとしんどくなりそうな2ヶ月間がこれから始まりますが、ルイス・エンリケが求めるようにチームとしてリアクションを起こし、一致団結してこの逆境を乗り越えていきますように。ピンチはチャンス!丸坊主ネイマールもファイト!
コメント
スアレスのような、自分のプレーでチームを牽引していく選手がいるのは心強いですね。
メッシ負傷の今、チームの総合力が試されることになっていくと思います。